哲学のプロムナード(ΦωΦ)黒猫堂

推理小説やSFのレビュー・書評・ネタバレ解説・考察などをやっています。時々創作小説の広報や近況報告もします。

我孫子武丸『殺戮にいたる病』 レビュー

 

 
発売日:1996-11-14
犯人の名前は蒲生稔。衝撃のサイコスリラ-何ものかに憑かれたように、次々と猟奇的殺人を重ねる男、蒲生稔。恐るべき殺人者の心の軌跡をたどり、とらえようのない時代の闇に鋭く迫る我孫子武丸の超問題作

・レビュー

うーん・・・。なかなか良かったとは思うが、ミステリの最高傑作の一つと評されている作品としては、満足感は些かならず低かったかもしれない。
トリックは非常にシンプルでほぼ見切れる。かなりの序盤で見破ることが出来た。
しかし、評価としてはミステリとしては低くとも、心理描写という点では見事。「殺戮にいたる病」というタイトルに見合った内容が登場人物の深淵に堕ちていく様とともに綺麗に描かれていたように思う。
時代背景に合わせた社会描写も、解説を読んで「なるほど」と頷けるものだったが、私自身の読解としては解説で書かれているほどに精密に構成されていた設定ではなかったように感じた。この辺りは読者の生まれた時代によるのかもしれない。
ミステリに慣れていない読者なら「トリック」的な要素が加味されるので楽しめるだろう。
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