哲学のプロムナード(ΦωΦ)黒猫堂

推理小説やSFのレビュー・書評・ネタバレ解説・考察などをやっています。時々創作小説の広報や近況報告もします。

鈴木光司『エス』レビュー

映像制作会社に勤める安藤孝則は、ネット上に公開されたある動画の解析を依頼される。それは、中年男が自身の首つり自殺の模様を中継した、衝撃的ながらもどこか不可解な映像だった。孝則は真偽を確かめるため解析を始めるが、やがてその動画の中の男が、画面の中で少しずつ不気味に変化していることに気付く。同じころ、フィアンセで高校教師の丸山茜は、孝則の家で、何かに導かれるようにその動画を見てしまうのだった…!?“リング”シリーズ、新たな恐怖―存在してはならない奴が…追ってくる。

・レビュー

上の紹介文は全部聞き流して問題無い。
ネタバレを避けるとこのような文になってしまうので。
メッセージ性が強く出ていてシリーズでは新しさを感じる今作。リングシリーズの愛読者でなければ発刊のスパンもあるので意味が明瞭にならない。そのあたりが非常にこの小説の評価を下げてしまっている気がする。
また、その一方で愛読者は愛読者で、好きだからこそ先の展開は早々に読めてしまう。
重要なのは時系列と人間関係、過去作との関連をしっかり頭の中で結びつけ、そして多様性を許容することです。
その行為に違和感を覚える方はおそらくつまらないと感じるでしょうし、そのタイプの方は過半数に及ぶかもしれない。
私は幸いそのあたりの設定は許容範囲であると思えたので楽しめた。
『このシリーズ』をいつまでもホラーと思っている人にも向かないと思われる。普通は『リング』でホラーが終わり、『らせん』からはそれが尾を引いているに過ぎずジャンルが変わっていることに気づくはずであるけれど、それに気付かずホラーとして読んでしまえばハッキリ言って怖い話でもなんでもなく(これはリングと比べてという意味であり、単体で読めばリングに次いでホラー的であるとも言える)、期待はずれに思えてしまうかもしれない。
ただし、『リング』以来の恐怖性を感じたのも確かである。
非常に「一作目的」で、次作があるならば「らせん」と対応するのかもしれない。
 

 

タイド (角川ホラー文庫)

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