映画『凶悪』レビュー
凶悪
ある日、ジャーナリストの藤井(山田孝之)は、死刑囚の須藤(ピエール瀧)が書いた手紙を持って刑務所に面会に訪れる。須藤の話の内容は、自らの余罪を告白すると同時に、仲間内では先生と呼ばれていた全ての事件の首謀者である男(リリー・フランキー)の罪を告発する衝撃的なものだった。藤井は上司の忠告も無視して事件にのめり込み始め……。
『ロストパラダイス・イン・トーキョー』の白石和彌が、ベストセラーノンフィクション「凶悪-ある死刑囚の告発-」を映画化した衝撃作。ある死刑囚の告白を受け、身の毛もよだつ事件のてん末を追うジャーナリストが奔走する姿を描く。
レビュー
ちょっと日が空いてしまったけれど、また映画のレビュー。
このブログ書評ブログなのに映画ばっかりだな……w
もうすぐ伊藤計劃の『虐殺器官』読み終わるから近いうちにレビューします。
さて、今回は『凶悪』。
これは良かった。よく出来てたし、迫力がすごい。
ノンフィクション作品だから、「よく出来てた」というのはある意味凄まじいことではあると思うんだけれどね。
死刑囚の須藤を演じるピエール瀧がやはり印象的。ある意味では一番すごいキャラクターなんだよね。
リリー・フランキーは、同時期に公開された『そして父になる』では優しい父親を演じていて、この映画の冷酷で残酷な不動産ブローカーの役との落差が話題になったらしい。
事実は小説よりも奇なり、というけれど、この映画はモデルとなった実際の事件がまずすごくて、それを見事に再現して作品にしている。
強姦とか死体損壊のシーンがあるからまあ地上波じゃ放送されないだろうけれど色々考えさせる内容ではあるから、是非観ておきたい映画ではあると思う。
何よりもこういうことが現実に起こりうるということを知るのにはいい。
以前にアンビリバボーでやっていて、僕は事件自体は知っていたのだけれど、見始めるまではその事件がモデルの映画とは知らなかったね。でも「先生」が出てきてからは完全に思い出して、やはりゾッとする事件ではある。
そしてタイトルの「凶悪」。
この作品、この事件において、一体誰が凶悪なのか。
これは深く考察できる余地があるかなと思う。
ここからネタバレ
最も凶悪なのは誰か?
あるいは何か?
この辺りに関しては、ラストシーンとか、裁判のシーンあたりで明確に問題提起されているよね。特にラストシーンは本当にすごい。あの場面はとても印象に残る。
記者という立場もまた、結構な業を背負ってることを再認識させられる。