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哲学のプロムナード(ΦωΦ)黒猫堂

推理小説やSFのレビュー・書評・ネタバレ解説・考察などをやっています。時々創作小説の広報や近況報告もします。

綾辻行人 『殺人鬼 ‐‐逆襲篇 (角川文庫』 レビュー/後半でネタバレ

 

殺人鬼  ‐‐逆襲篇 (角川文庫)

殺人鬼 ‐‐逆襲篇 (角川文庫)

 

 伝説の『殺人鬼』、ふたたび。双葉山の惨劇から三年、最初にそれと遭遇したのは休暇中の一家。正義も勇気も家族愛も、ただ血の海に消えゆくのみ。そしてそれは山を降り、麓の街に侵攻するのだ。病院を、平和な家庭を、凄惨な地獄風景に変えていく。殺す、殺す、殺す…ひたすら殺戮を欲する怪物に独り立ち向かうのは、不思議な“能力”を持った少年・真実哉。絶望的な闘いの果てに待ち受ける、驚愕と戦慄の結末とは!?―。

 

 シリーズ続編なので、一作目のレビューはこちら。


綾辻行人 『殺人鬼 ‐‐覚醒篇 (角川文庫)』 レビュー/後半でネタバレ - 哲学のプロムナード(ΦωΦ)黒猫堂

 

【注意】このレビューでは前作『殺人鬼 --覚醒篇』について触れています。

 

 

さてさて。

今度は双葉山から殺人鬼さんが降りてきまして(笑)、病院が一つの舞台となって、再び殺戮が繰り返される。てっきり山にこもってないといけないタイプのモンスターなのかと思いきや、あっさりと下山したのでちょっと笑ってしまったのだけれど、残虐性は笑えないクオリティに。

前回は正直、みんなが言うほど残酷でもないかなと思っていたのだけれど、まあ今回はそれなりに「うおぉ……」となったかもしれない。冒頭でいきなり前回よりもすごい残酷描写があったりして、確実にスプラッターホラーとしてはパワーアップしている。
なので見どころとしては前回よりも殺しのレパートリーが増えてるよっていうところかな。
そして今作も前作と同じようにミステリ的な技巧が施されていて、とあるトリックで真相が隠されている。しかし今回は前回ほどではなく、ミステリ好きでなくともかなりあっさりと見破ってしまうと思う。
どうやら今回はストーリーに力を入れ、ホラー的な方面に軸が移ったようだ。なので前回よりもかなり超常的な側面が強くなり、純粋なスプラッターホラーとして読んだほうがいいかもしれない。変にミステリや推理を期待すると呆気なく終わってしまう。


やはりスプラッターホラーにありがちな「1作目のほうがすばらしかった」というところまで丁寧になぞってあるというか、ある意味オマージュだと思ったらそこまでつまらなくはないだろう。スプラッターとして読めば、かなりパワーアップしている印象だし、インパクトもある。ラストも非常にそれらしい展開で、ホラーとしては満足のいく小説だったと思う。

 

ここから下ではネタバレ。

殺人鬼  ‐‐覚醒篇 (角川文庫)

殺人鬼 ‐‐覚醒篇 (角川文庫)

 
殺人鬼  ‐‐逆襲篇 (角川文庫)

殺人鬼 ‐‐逆襲篇 (角川文庫)

 

 ここからはネタバレ。

今回はあまり話すことはないかな。
前作でほぼ双葉山のメンバーを皆殺ししてしまった殺人鬼さんですが、今回はあまり人は殺さない。主に沼に沈んでいらっしゃる(笑)

とはいえ作中では時間を空けて4人くらいは殺っちゃってるので、まあ相変わらずの無茶苦茶なモンスターである。
今回は例の憑依とも言える乗り移りが4人に及んでいる。内二人は主人公とその姉であり、これはかなり微弱なもの。しかし少々心に侵入されたことが、テレパシーという展開の伏線として機能している。残り二人は今回の殺人鬼たちである。
一人は覚せい剤中毒の殺人犯、もう一人は主人公真実哉少年の父。
この二人が殺人鬼の波動に操られているという事実が今回の真相であり、トリックは彼らが途中の視点の動きの中で入れ替わっているというところにある。
ほとんど予想できる上に描写も判りやすいので、今回は意外性はそれほどではない。
あくまでも消火器で腹を爆発させたり、四肢切断とか、乳児を食わせるだとか……まあそのあたりのパワーアップしたスプラッターホラーにぞくぞくしながら読み進めるのが正解だったかなと思う。

次回作もいつか作られるようなので、期待しておこう。

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