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哲学のプロムナード(ΦωΦ)黒猫堂

推理小説やSFのレビュー・書評・ネタバレ解説・考察などをやっています。時々創作小説の広報や近況報告もします。

【世界初の推理小説】 エドガー・アラン・ポー 『モルグ街の殺人事件』 レビュー(警告文のあとにネタバレあり)

 

モルグ街の殺人事件

モルグ街の殺人事件

 

 モルグ街の殺人事件

19世紀アメリカの小説家・詩人であるエドガー・アラン・ポーの短編小説(佐々木直次郎による訳)。ポー自身が編集主筆を務めていた「グレアムズ・マガジン」1841年号に掲載された。パリのモルグ街で、人間離れした怪力で母娘が殺される事件が起きる。しかも現場は密室だった。謎の事件の解明に、オーギュスト・デュパンが乗り出す。史上初の推理小説とされている。

 

レビュー

いやあ、まさかこのタイミングでこれを読むことになるとはという感じ。有栖川有栖の『月光ゲーム』を読み終わって書評をつけようと思っていたところで中途半端に時間が空いてしまった数十分があったので、サッとダウンロードしてちゃちゃっと読み終えてしまった。『月光ゲーム』の書評は体力使いそうだし先にこちらにレビューをつけることとする。ちなみに『月光ゲーム』は超面白かったです、明日辺りにはレビュー公開できるかな。

月光ゲーム―Yの悲劇’88 (創元推理文庫)

月光ゲーム―Yの悲劇’88 (創元推理文庫)

 

 さてこの『モルグ街の殺人事件』はミステリの父というべき偉大なる詩人であり作家の、エドガー・アラン・ポーの作品。江戸川乱歩の名前の元になった人だね。

この『モルグ街の殺人事件』は誰でも知っているような作品でありながら、実際に読んだ人は少ない。というのも買ってまで読むボリュームではないし、なんとなく手を出しにくい時代の作品だし、紙の本だと『黒猫』あたりとかと一緒に抱き合わせになっている場合が多くてめんどくさいという感じなのだ。電子書籍が一般的になってからやっと読んだ人は僕だけでなく意外と多いのではなかろうか。

黒猫

黒猫

 

 ちなみに僕は『黒猫』は既に読んだ。こちらのほうが遥かに傑作だと思う……が、世界初の探偵・推理小説で、天才かつユニークな探偵、平凡な助手とその語り、非常に論理的な推理、意外な犯人、そして密室殺人という、もう初めて尽くしの小説なのだから読まない訳にはいかない。

 

この小説の価値はきっと「初の推理小説」の一つであるということに尽きる。

どちらかと言えば本格のほうが好きな僕としては、これを本格だという人に大いに不満なのだけれど、本格という人もいる。断じて本格ではないのだけれど(笑)
少なくともフェアな推理小説ではなく、読者は作中の情報で犯人を当てることができないだろう。なのでそういう読み方ではなく、「この形式が後の作品に受け継がれたんだな」とか「デュパンかっこいいな」とか「推理面白いな」だとかそういう読み方がいいと思う。当然こういう読み方は推理小説の楽しみ方として間違っていないし、そもそも本格以外ではこう読む他ない。

この小説は有名な名探偵C・オーギュスト・デュパン(C. Auguste Dupin)の初登場作だが、この名探偵は非常にかっこいい。その推理や考え方は面白かった。

 

そういう意味では大いに満足した。これが始祖にして現代に通じる、色褪せない作品であるということは明らかで、非常に面白い。
実は密室も犯人も厳密にそう言えるか微妙なのがこの作品の特徴なのだけれど、見方を変えればまさに推理小説のルーツ。これは推理よりも、驚きの結末に重点が置かれた「怪奇小説」であり、まさに推理小説は怪奇より出たジャンルなのかなと思う。

 

とにかく推理小説が好きな人はルーツを読んでみるのもいいかもしれない。簡単に読み終わる文量なのでおすすめ。

さて、この下ではネタバレしますので注意↓

モルグ街の殺人事件

モルグ街の殺人事件

 
黒猫/モルグ街の殺人 (光文社古典新訳文庫)

黒猫/モルグ街の殺人 (光文社古典新訳文庫)

 
モルグ街の殺人・黄金虫―ポー短編集〈2〉ミステリ編 (新潮文庫)

モルグ街の殺人・黄金虫―ポー短編集〈2〉ミステリ編 (新潮文庫)

 

 

ネタバレすると密室は実は人が出入りできないような窓が開くようになっていたという特に密室でもない状態で、犯人は人間じゃなくて猩々つまりオランウータンだったというもの。

これは殺人事件というよりはどちらかと言うと「事故」なんじゃないかという気もする。なので僕は全然本格でもなければ推理小説としては中途半端だと思うんだけれど、やはり日本でいうところの江戸時代にこんな形で推理小説のルーツが生まれたというのは興味深い。

推理小説としてはイマイチだけど怪奇小説としてはなかなかおもしろい。
ポーが作った推理小説の種はドイルに引き継がれクイーン、クリスティー、カーと発展してきた。やはりそういう意味では偉大な一作だろう。

 

 

 

 

 

 

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