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哲学のプロムナード(ΦωΦ)黒猫堂

推理小説やSFのレビュー・書評・ネタバレ解説・考察などをやっています。時々創作小説の広報や近況報告もします。

福田和代 『怪物』 レビュー (ネタバレ無し)

書評・レビュー ミステリ・推理小説 福田和代
 
 
著者 : 福田和代
発売日 : 2011-06-03
内容(「BOOK」データベースより)
定年間近の刑事・香西の心残りは3か月前に時効を迎えた未解決の幼女誘拐殺人事件。すでに主軸から外されている香西は、失踪者・橋爪の足取りを単独で捜査中、訪れた最新鋭のゴミ処理施設で思いがけず“死”の匂いを嗅いでしまう。その部屋の主は、すべてを溶かす水―亜臨界水の若き研究者・真崎。彼の過去を知ったとき、香西は…。『TOKYO BLACKOUT』『迎撃せよ』の著者が、満を持して放つ戦慄と慟哭の長編ミステリー。


・レビュー

まさに「怪物と闘う者は、その過程で自らが怪物と化さぬよう心せよ。おまえが長く深淵を覗くならば、深淵もまた等しくおまえを見返すのだ。」という例のアレです。
というよりも先にこの言葉があるからこそこの小説は作られたのだと思う。内容を考えても作者がこの言葉をテーマにしたのはほぼ間違いないかな。
内容はかなり面白かった。面白さだけなら星を5つにしたかったところ。星をひとつ減らしたのは、登場人物の一人藤井寺里沙の行動の説明が希薄な点。私としてはこの一点と、あとはエピローグについてもう数ページ使って余韻を持たしても良かったかなという一点。それを除けば、主人公の老刑事香西の心理がよく描写されていたし、真崎についてもキャラクターとして非常にいい。
ドラマ版を先日観たのだが、これがまた傑作だったと思う。ドラマ版については、先述した星を減らした原因は解消されているし、真崎役の向井理のキャスティングはイメージ通り、香西役の佐藤浩市の演技は特に良かった。父三國連太郎の逝去の関係もあったのかもしれない。丁度この作品のドラマの撮影中に亡くなられたと聞く。
ドラマ版でちょっと気になったのは香西が少々荒っぽくなっている点かな。ただ、基本的にドラマが小説を忠実に再現しなければならないというルールもないし、おそらく時間の関係上設定を省いたということもあるだろう。むしろ設定を大胆にそぎ落としたのがドラマ版での改良かもしれない。個人的には両方の作品を知っていると補完的に作用すると思う。ドラマ版では石川という主人公の後輩が栗山千明演じる新米刑事に変わっているのだが、彼女の終盤でのシーンも個人的には好きだった。小説版でも記者を使わずに石川を使ったほうが、その後のストーリーを予感させて面白かったのではないだろうか。



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