哲学のプロムナード(ΦωΦ)黒猫堂

推理小説やSFのレビュー・書評・ネタバレ解説・考察などをやっています。時々創作小説の広報や近況報告もします。

綾辻行人 『十角館の殺人』 レビュー

発売日:2007-10-16

十角形の奇妙な館が建つ孤島・角島を大学ミステリ研の七人が訪れた。館を建てた建築家・中村青司は、半年前に炎上した青屋敷で焼死したという。やがて学生たちを襲う連続殺人。ミステリ史上最大級の、驚愕の結末が読者を待ち受ける!’87年の刊行以来、多くの読者に衝撃を与え続けた名作が新装改訂版で登場。

・レビュー

面白い。
推理小説の読み方として、作者と読者の論理対決として読むという方にはフェアな戦いができると思う。看破すれば気持ちいいし、騙されても非常に面白いだろうと感じた。
これは私がミステリを読んでいていつも思うことなのだが、社会性や特殊な情報を使っていないいわゆる「本格」「古典」と言われるような、まさにこの作品のようなミステリでは、違和感を「ミス」と読んだら負ける。
個人的には、いままでの既読ミステリで十分にそのことを思い知ったので(笑)、今回は意地の勝利を目指して読んだ。多くのミステリに影響を与えたとされるこの作品だけは読みきってやりたかったので注意深く。
内容に深みがあるかについては、すくなくとも『そして誰もいなくなった』よりは深みはある。何が言いたいかといえば、この手の本格ミステリにはあまり深い心情描写を求めずに読んでいいだろうということ。やはりその辺は、東野圭吾貫井徳郎あたりの現代に生まれたミステリの役目のように思う。
古くからのこの形ならばこれでいい。それに私としては海外作家の名前が登場したり、孤島の館が舞台であったり、そして安吾の『不連続殺人事件』を想わせるあの最終シーンの描写で満足だ。

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