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哲学のプロムナード(ΦωΦ)黒猫堂

推理小説やSFのレビュー・書評・ネタバレ解説・考察などをやっています。時々創作小説の広報や近況報告もします。

伊坂幸太郎『アヒルと鴨のコインロッカー』 レビュー

書評・レビュー ミステリ・推理小説 伊坂幸太郎
【第25回吉川英治文学新人賞受賞】
「一緒に本屋を襲わないか」大学入学のため引越してきた途端、悪魔めいた長身の美青年から書店強盗を持ち掛けられた僕。標的は、たった一冊の広辞苑――四散した断片が描き出す物語の全体像とは? 清冽なミステリ。

・レビュー

よくできている。構成美では今まで読んだ小説の中でもトップレベルだと感じた。
独特の言い回しや世界観、登場人物の性格は伊坂さんの小説を初めて読んだ身としては少々むず痒く感じたのだけれど、あのクールな感じというか、少し離れたところから世界を見渡すような視点は癖があって非常に面白かった。そして人気作家だけあって表現には難しい言葉はなくおそらく読みやすいのだろうなと感じた。私としては少々難解な方が好みではあるけれど。
さて、ストーリーに関してだが、ネタバレを避けるためにもこの物語が現在と二年前を交互に見せる構成であること以外は述べないでおく。
だが、それが最大のミソであって、この小説の面白いところ。
二年前の「主人公たち」と現在の主人公たち、二年前の言葉と現在の言葉、二年前の行動と現在の行動、この構成美と伏線回収の鮮やかさが=面白さという感覚になるのだと思う。
内容が詰まっているかと言ったらそうでもない、シンプルさは読んでいてすぐに判る。だがそのシンプルさに限界まで「構成上のリンク」「伏線」「トリック」を織り込んだのが凄い。最後には前半で登場した言動が全く重さの違う言動として感じられる。
アヒルと鴨のコインロッカー』というこのタイトルは他の何より秀逸で全体の要約・要旨・暗喩が一挙に詰まっている感がある。自分ならどう創るか、と考えながら読むとトリックは簡単に見破れるが、この構成美とタイトルの秀逸さだけは予想できないと感じた。
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